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2025.07.08

国立遺伝学研究所と当社との共同研究成果について

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ファイメクス株式会社(代表取締役CEO:宇都克裕、所在地:神奈川県藤沢市、以下「当社」) は、2018年5月より実施しております大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立遺伝学研究所(以下「遺伝研」)との共同研究の成果が、英国の学術誌「Journal of Cell Science」に2025年7月5日付で掲載されたことをお知らせします。

論文タイトル: A single-chain antibody-based AID2 system for conditional degradation of GFP-tagged and untagged proteins
著者: Moutushi Islam, Takefumi Negishi, Naomi Kitamoto*, Yuki Hatoyama, Kanae Gamo*, Ken-ichiro Hayashi, Masato T. Kanemaki(*当社役職員)
Journal of Cell Science, 138 (13): jcs263961, 2025

共同研究では、分子生物学・遺伝学の専門家である、遺伝研分子細胞工学研究室・鐘巻将人教授と共同で、鐘巻教授が開発したオーキシンデグロン(Auxin-Inducible Degron, AID)法のin vivo動物モデルへの応用を進めてまいりました。本研究では、改良型オーキシン誘導性デグロン(AID2)技術をさらに発展させ、標的タンパク質にタグを付加することなく分解を可能にする「scAb-AID2(single-chain antibody AID2)」システムを開発しました。この技術は、単鎖抗体とデグロンを融合したアダプターを用いて、標的タンパク質を認識し、誘導剤の存在下で迅速に分解を誘導します。当社は本研究において、マウスを用いたin vivoでのscAb-AID2システムの有効性検証を担当し、標的タンパク質の分解がマウス腫瘍モデルにおいて腫瘍形成に影響を与えることを実証しました。これにより、AID2技術の創薬応用に向けた可能性が大きく広がることが示されました。

当社代表取締役CEOの宇都克裕は次のように述べております。「本研究では、標的タンパク質を遺伝子改変することなく、抗体を介してその分解を誘導できる新しい技術が確立されました。今回の成果は、モデル生物・非モデル生物を問わず、AID2技術を幅広く展開できる道を切り拓くものであり、当社のRaPPIDS™技術と組み合わせることにより、革新的な医薬品の創出に向けた取り組みをさらに加速してまいります。」

研究の詳細につきましては、発表論文または遺伝研プレスリリースをご覧ください。

・遺伝研プレスリリースのURL:
分解タグを付加しなくても標的タンパク質を分解できる新技術 | 国立遺伝学研究所

【ファイメクス社について】
ファイメクスは、タンパク質分解誘導を作用機序とした新規医薬品の研究開発を進める創薬ベンチャー企業です。独自のE3リガーゼ結合分子と創薬基盤技術「RaPPIDS™」を基に、これまで “undruggable (創薬困難)” とされてきたがん疾患に関連するタンパク質を標的とする複数のFirst-in-class新薬開発プログラムを進めています。当社は、RaPPIDS™を社内プロジェクトだけでなく、国内外の企業、研究機関との共同研究に利用することで、幅広い医薬品ターゲットとアンメットメディカルニーズに対処し、世界中の患者さんと家族にとっての Life-saving medicine を提供して参ります。詳細はホームページhttps://www.fimecs.com/ をご覧ください。

【オーキシンデグロン法(AID2)について】
オーキシンデグロン(Auxin-Inducible Degron, AID)法は、植物ホルモンオーキシン依存のデグロン配列を分解の目印として任意のタンパク質に付加することにより、オーキシン添加時に細胞内で標的タンパク質を迅速に分解除去する技術です。AID2技術は、植物ホルモンオーキシンの類縁体を添加することで、標的タンパク質を迅速かつ誘導的に分解する改良型の技術です。

【本件に関するお問い合わせ先】
ファイメクス株式会社
神奈川県藤沢市村岡東二丁目26番地の1
E-mail:info@fimecs.com Tel:0466-96-0261

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