技術情報

Targeted Protein Degradation

ヒトの生体内に存在する約180,000のタンパク質のうち、約1500のタンパク質がすでに疾患と関連があることが報告されている。一方、その90%は既存の低分子薬や抗体医薬では活性阻害や機能調節をすることが難しい“薬を作ることができない標的分子(Undruggable Target)”とされてきました。しかし、我々が着目している標的タンパク質分解誘導薬は、従来、標的分子として狙うことのできなかった標的に対してアクセスすることができる新しいモダリティであり、新薬開発におけるアプローチとして、大きな可能性を秘めています。

標的タンパク質分解誘導剤は、二つのバインダーとリンカーからなる化合物で、標的タンパク質とE3リガーゼのタンパクータンパク相互作用 (PPI)を促進します。通常の細胞が有するタンパク質分解機構であるユビキチン・プロテアソームシステムを利用し、標的タンパク質のユビキチン化と続くタンパク質分解を引き起こします。標的タンパク質分解誘導薬は、タンパク質分解を誘導した後、再度、別の標的タンパク質に結合し、繰り返しタンパク質分解を誘導するため、より強力な作用を発揮することが期待されます。

 

 

Discovery Platform – RaPPIDSTM

当社独自の技術であるRaPPIDSTMは、多様性志向合成(Diversity-oriented synthesis: DOS)をベースとした標的タンパク質分解誘導薬の創薬プラットフォームです。RaPPIDSはLead GenerationとLead Optimizationの2段階で構成されます。

最初のLead Generationステップでは、複数のE3バインダーとリンカーの組み合わせで構成された“Ready to Conjugate Probe”を用いて、短期間で20個から50個の標的タンパク質分解誘導剤を作成します。ここで、目的のタンパク質分解を誘導する上で適切なE3リガーゼとリンカーの長さを同定し、リード化合物を創出することができます。我々は独自のXIAPに対するE3バインダーを用いた創薬開発のほか、新規E3バインダーの探索も行っており、標的タンパク質分解誘導薬開発の拡充を進めています。

 

 

次のLead Optimizationステップでは、得られたリード化合物を基に半自動化したハイスループットDOSのアプローチで、より多様性に富んだ多くの化合物を短期間で合成します。リンカーだけでなくE3リガーゼもフラグメント化することで最適な化合物を短期間で創出することが可能です。

 

 

タンパク質分解活性の発現に重要な三者複合体(標的タンパク質、化合物、E3リガーゼの3つ)のモデリングやタンパク質分解活性の予測をin silicoで実施することは困難であると考えており、効率よく多くの化合物を合成し評価できるプラットフォームの構築を目指しています。当社では独自のXIAPに対するE3バインダーを用いた創薬開発のほか、新規E3バインダーの探索も行っており、標的タンパク質分解誘導薬開発のプラットフォーム拡充を進めています。